赤玉はら薬と正露丸は、どちらも下痢や食あたり、水あたりなどに使われる市販の胃腸薬ですが、配合成分や服用方法には明確な違いがあります。
特に大きな違いは、代表的な赤玉はら薬がタンニン酸ベルベリンやゲンノショウコなどを組み合わせているのに対し、大幸薬品の正露丸は木クレオソートを主成分としている点です。
また、服用できる年齢や服用するタイミング、むし歯痛への効能なども異なるため、単純に「どちらのほうが強いか」だけで選ぶものではありません。
なお、「赤玉はら薬」という名称や類似名称の商品は複数のメーカーから販売されており、製品によって成分や用法が異なるため、本記事では大昭製薬の赤玉はら薬を主な比較対象として紹介します。
それぞれの特徴を知り、症状や年齢、飲みやすさに合わせて適切な市販薬を選べるようにしておきましょう。
赤玉はら薬と正露丸の違いは7項目
赤玉はら薬と正露丸は、どちらも第2類医薬品に分類される止瀉薬ですが、中身まで同じ薬ではありません。
効能には共通する部分が多い一方、主成分や作用の考え方、服用年齢、飲むタイミングなどに違いがあります。
まずは代表的な違いを7項目に分けて整理すると、自分に合う薬を判断しやすくなります。
主成分
大昭製薬の赤玉はら薬には、センブリ末、アクリノール水和物、タンニン酸ベルベリン、ゲンノショウコエキスという4種類の有効成分が配合されています。
一方、大幸薬品の正露丸は日本薬局方の木クレオソートを中心に、アセンヤク末、オウバク末、カンゾウ末、チンピ末を組み合わせた薬です。
同じ下痢止めでも有効成分の構成が大きく異なるため、薬としてまったく同一のものではありません。
| 比較項目 | 赤玉はら薬 | 正露丸 |
|---|---|---|
| 中心となる成分 | タンニン酸ベルベリンなど | 木クレオソート |
| その他の主な成分 | センブリ・ゲンノショウコなど | アセンヤク・オウバクなど |
| 医薬品分類 | 第2類医薬品 | 第2類医薬品 |
作用
赤玉はら薬に含まれるタンニン酸ベルベリンは止瀉作用を持ち、ゲンノショウコエキスは整腸薬として便通を整える働きを担います。
アクリノール水和物は食あたりや水あたりなどを想定した成分で、センブリは健胃や消化不良に対して用いられています。
正露丸の木クレオソートは腸の過剰なぜん動運動を正常化しながら腸管内の水分量を調整するのが特徴です。
効能
赤玉はら薬と正露丸は、下痢、消化不良による下痢、食あたり、水あたり、はき下し、くだり腹、軟便など、多くの効能が共通しています。
そのため、日常的に起こる軽度の下痢症状については、どちらも選択肢になり得ます。
ただし、原因不明の激しい下痢や長期間続く下痢に対して、自己判断で市販薬だけを使い続けるのは適切ではありません。
むし歯痛
大きな違いの一つが、大幸薬品の正露丸には「むし歯痛」が効能として認められている点です。
正露丸では、むし歯の穴に規定量を詰める使用方法が記載されています。
大昭製薬の赤玉はら薬には、むし歯痛の効能は記載されていないため、この用途では同じように使用できません。
服用年齢
大昭製薬の赤玉はら薬は3歳以上から服用できるのに対し、大幸薬品の正露丸は5歳以上が対象です。
子どもに使う場合は年齢によって1回量も細かく設定されているため、大人の量を単純に減らして飲ませる方法は避けましょう。
また、小児では粒をのどにつまらせないように保護者が見守ることも重要です。
- 赤玉はら薬:3歳以上
- 正露丸:5歳以上
- 規定年齢未満は服用不可
- 小児は保護者の監督が必要
服用タイミング
大昭製薬の赤玉はら薬は1日3回、食前に水またはぬるま湯で服用する用法となっています。
大幸薬品の正露丸は1日3回、食後のなるべく30分以内に水またはお湯と一緒に服用します。
下痢止めだから好きなタイミングで飲んでも同じというわけではなく、購入した製品の用法を守ることが大切です。
飲みやすさ
赤玉はら薬は名称のとおり赤色系の小さな粒で、製品によっては成人1回分があらかじめ分包されています。
正露丸は黒褐色のやわらかな丸剤で、木クレオソートに由来する独特のにおいと味があります。
正露丸のにおいが苦手な場合は、同じ大幸薬品の正露丸シリーズでも、においを抑えたセイロガン糖衣Aなどを検討できます。
赤玉はら薬が向いているのはどんな場合?
赤玉はら薬は、下痢を抑える成分だけでなく、整腸や健胃に関係する成分を組み合わせていることが特徴です。
食あたりや水あたり、消化不良による下痢など、添付文書に記載された範囲で使用できます。
ただし、赤玉はら薬には複数の商品が存在するため、ここで紹介している成分や年齢条件がすべての「赤玉」と呼ばれる薬に共通するわけではありません。
消化不良による下痢
大昭製薬の赤玉はら薬にはセンブリ末が配合されており、苦味健胃生薬および整腸薬として消化不良に対して働きます。
さらにゲンノショウコエキスが便通を整え、タンニン酸ベルベリンが止瀉作用を担う構成です。
単純に便を止めるというより、おなかの調子を整えながら下痢に対応する処方と考えると特徴を理解しやすいでしょう。
- 下痢
- 消化不良による下痢
- 食あたり
- 水あたり
- はき下し
- くだり腹
- 軟便
小さな子どもへの使用
大昭製薬の赤玉はら薬は3歳以上から使用できるため、5歳未満の子どもに使用できる点は正露丸との違いになります。
ただし、3歳以上5歳未満では1回3粒など年齢ごとに用量が細かく設定されているため、必ず添付文書に従う必要があります。
乳幼児の下痢では脱水につながることもあるため、市販薬を飲ませることだけに意識を向けず、水分摂取や全身状態にも注意しましょう。
| 年齢 | 大昭製薬の赤玉はら薬1回量 |
|---|---|
| 15歳以上 | 10粒 |
| 11歳以上15歳未満 | 7粒 |
| 8歳以上11歳未満 | 5粒 |
| 5歳以上8歳未満 | 4粒 |
| 3歳以上5歳未満 | 3粒 |
| 3歳未満 | 服用しない |
正露丸のにおいが苦手な場合
正露丸の独特なにおいが苦手で服用しにくい人は、赤玉はら薬のほうが抵抗なく飲める場合があります。
薬は適切な量を適切なタイミングで服用できることが重要なため、効能が適合する範囲で飲みやすさを選択材料にするのは合理的です。
ただし、においの有無だけで薬を決めず、年齢や症状、成分、持病、服用中の薬なども考慮してください。
正露丸を選びやすいのはどんな場合?
正露丸は木クレオソートを主成分とする代表的な胃腸薬で、100年以上にわたって家庭薬として使用されてきました。
食あたりや水あたりだけでなく、ストレスや風邪などをきっかけにした軟便や下痢にも使用されます。
赤玉はら薬との違いを理解したうえで、正露丸ならではの特徴が自分の用途に合っているかを判断しましょう。
急な軟便や下痢
正露丸の主成分である木クレオソートは、大腸の過剰なぜん動運動を正常化するとともに、腸管内の水分量を調整する働きがあります。
腸の正常な運動を完全に止めることなく、おなかを正常な状態に近づけることを目的としている点が特徴です。
食べ物や飲み物をきっかけとした下痢だけでなく、日常生活で突然起こった軟便にも用いられています。
- 軟便
- 下痢
- 食あたり
- 水あたり
- 消化不良による下痢
- はき下し
- くだり腹
食後に飲みたい場合
正露丸は食後、なるべく30分以内に服用する薬なので、食事の後に薬を飲む習慣がある人にはタイミングを管理しやすいでしょう。
成人は1回3粒を1日3回服用するため、大昭製薬の赤玉はら薬に比べると1回に飲む粒数も少なくなっています。
ただし、粒の大きさや形状が異なるため、単純に粒数が少ないから作用が強いという意味ではありません。
| 年齢 | 正露丸1回量 |
|---|---|
| 15歳以上 | 3粒 |
| 11歳以上15歳未満 | 2粒 |
| 8歳以上11歳未満 | 1.5粒 |
| 5歳以上8歳未満 | 1粒 |
| 5歳未満 | 服用しない |
むし歯が痛む場合
大幸薬品の正露丸にはむし歯痛の効能が認められており、下痢止め以外の用途を持つ点が赤玉はら薬にはない特徴です。
使用する場合は1粒から2分の1粒をむし歯の穴に詰める方法が添付文書に示されています。
ただし、正露丸を詰めてもむし歯そのものが治療されるわけではないため、痛みがある場合は歯科を受診して原因を治療することが重要です。
どちらが効くかは何で決まる?
赤玉はら薬と正露丸を比較すると、「どちらのほうが効くのか」が気になる人も多いでしょう。
しかし、有効成分も作用の仕方も異なるため、すべての下痢に対して片方が一律に優れているとは言えません。
薬の強さだけで比較するのではなく、下痢の原因や症状、服用する人の年齢などを考える必要があります。
症状との適合
軽い食あたりや水あたり、消化不良などによる下痢は、赤玉はら薬と正露丸のどちらにも共通する効能です。
一方で、配合成分が異なるため、同じ人が使用しても体感には差が出る可能性があります。
以前使用して問題なく症状が改善した薬がある場合でも、今回の症状が同じ原因とは限らないため、添付文書の適応範囲を確認しましょう。
| 症状 | 赤玉はら薬 | 正露丸 |
|---|---|---|
| 下痢 | 対象 | 対象 |
| 軟便 | 対象 | 対象 |
| 食あたり | 対象 | 対象 |
| 水あたり | 対象 | 対象 |
| 消化不良による下痢 | 対象 | 対象 |
| むし歯痛 | 対象外 | 対象 |
下痢の原因
下痢は暴飲暴食や消化不良だけでなく、感染症、ストレス、薬の副作用、食物不耐症などさまざまな原因で起こります。
原因によっては市販の止瀉薬を使用するよりも、体内から原因物質を排出することや医療機関で治療を受けることが重要になるケースがあります。
特に高熱や血便などを伴う場合は、「早く便を止めたい」という理由だけで市販薬を選ばないことが大切です。
- 消化不良
- 食べ過ぎ
- 水あたり
- 食あたり
- 感染症
- ストレス
- 薬による影響
個人差
同じ薬を服用しても、症状の原因や程度、体質などによって効き方には個人差があります。
「自分には正露丸がよく効く」「赤玉のほうが合う」という経験があったとしても、それだけで薬の優劣を一般化することはできません。
用法用量を守っても改善しない場合は、別の止瀉薬を次々と試すのではなく、薬剤師や登録販売者、医師へ相談しましょう。
飲む前に知っておきたい注意点は?
赤玉はら薬と正露丸はいずれも薬局やドラッグストアなどで購入できる一般用医薬品ですが、誰でも無条件に服用できるわけではありません。
特に激しい下痢や発熱、血便などがある場合は、単なる一時的なおなかの不調ではない可能性があります。
使用前にはパッケージと添付文書を読み、受診が必要な状態ではないかを確認しましょう。
受診を考える症状
発熱を伴う強い下痢や血便、粘液便などが見られる場合は、市販薬だけで様子を見るのではなく医療機関への相談を考える必要があります。
激しい腹痛、繰り返す嘔吐、意識状態の変化などがある場合も同様です。
子どもや高齢者は下痢によって脱水を起こしやすいため、便の回数だけでなく全身状態を確認してください。
- 高熱を伴う
- 血便が出る
- 粘液便が続く
- 激しい腹痛がある
- 嘔吐を繰り返す
- 水分を取れない
- 尿が極端に少ない
長引く下痢
市販薬を規定どおり使用しているにもかかわらず症状が改善しない場合は、長期間飲み続けるのではなく原因を確認することが重要です。
大昭製薬の赤玉はら薬では、5~6日間服用しても症状が改善しない場合は服用を中止し、医師や薬剤師、登録販売者に相談するよう記載されています。
正露丸についても添付文書の使用上の注意を確認し、漫然と長期服用しないようにしましょう。
| 状態 | 対応の目安 |
|---|---|
| 軽い一時的な下痢 | 適応を確認して使用 |
| 数日続く | 改善状況を確認 |
| 改善しない | 医師等へ相談 |
| 高熱や血便 | 早めに受診を検討 |
| 水分が取れない | 医療機関へ相談 |
併用薬がある場合
医師の治療を受けている人やほかの薬を服用している人は、市販の下痢止めだから問題ないと自己判断せず、購入時に薬剤師や登録販売者へ相談すると安心です。
胃腸薬や下痢止めを複数種類同時に使用すると、似た作用を持つ成分が重複する可能性もあります。
持病がある人、妊娠中や授乳中の人、高齢者なども、手元の添付文書に記載された相談事項を確認してから服用してください。
商品名だけで選ばず成分と用法を確認しよう
赤玉はら薬と正露丸はどちらも下痢や食あたり、水あたりなどに使える止瀉薬ですが、配合されている成分は大きく異なります。
大昭製薬の赤玉はら薬はセンブリ末、アクリノール水和物、タンニン酸ベルベリン、ゲンノショウコエキスを配合し、3歳以上から服用できる一方、大幸薬品の正露丸は木クレオソートを中心とした処方で5歳以上が対象です。
さらに赤玉はら薬は食前、正露丸は食後に服用するという用法の違いがあり、正露丸にはむし歯痛という独自の効能もあります。
一方で「赤玉はら薬」や「赤玉」と呼ばれる胃腸薬には複数メーカーの製品があり、有効成分や粒数、対象年齢などが異なる場合があるため、実際に使用する商品の表示確認が欠かせません。
どちらか一方が常に優れていると考えるのではなく、現在の症状、年齢、服用しやすさ、添付文書の効能を照らし合わせて選び、症状が強い場合や長引く場合は医療機関や薬剤師へ相談しましょう。
